僕が働いていた整形外科では、
ほとんどの患者さんに歩くように指導していました。
「毎日歩くことが痛みを取るためには必要ですよ」
「とりあえず続けて30分歩けるようになりましょう」
こんなやり取りが毎日診察室で繰り返されます。
けれどしっかり歩く方はほとんどいないのも現実で。
分かってはいるけれど続けられない、出来ない。
そもそもなぜ歩くことが治療に必要か分からないから、
続けられないのもあるのかなと。
なぜ歩くことが必要なんでしょうか。
一緒に考えてみましょう。
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まず、整形外科で診ている疾患のほとんどは、
運動器疾患と言われるものです。
肩こり、腰痛、変形性膝関節症、腱鞘炎などなど。
これらの疾患の共通点は「筋力低下」がそもそもの原因だと考えられます。
(もちろん怪我や使い過ぎ、その他の原因もあります。)
若くて元気なときは筋力がしっかりしているので、
身体をしっかりと支えて活動できます。
多少無理をしても、睡眠を取れば次の日は元気です。
それが年齢と共に筋力が低下すると、
しっかり身体を支えることが出来なくなるので、
軟部組織や骨に負担がかかります。
小さい靭帯・腱には負担がかかり続けると腱鞘炎になったり、
骨にも負荷がかかり続けると、何年もかけて変形してきます。
すると炎症が起きて身体が痛くなる。
これが痛みの原因の1つだと考えられます。
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病院では、レントゲンを撮ったり、
検査をして身体の状態を調べます。
診断が出たらお薬やシップを処方、
リハビリでは電気や牽引をしたりします。
治療院では、問診、触診、理学検査、脈診をして
身体の状態を調べていきます。
そして、はりやお灸を使って施術します。
まずは痛みを取ること(炎症を抑えること)が大切です。
痛みが取れてきたら次にやることは身体を強くすることです。
痛みが出ないような身体を作り、
日々の仕事や生活に耐えられる身体を作ることが大切です。
だから病院でも治療院でも、
「歩きましょう」という訳ですね。
また、歩ける距離や時間で、
患者さんの身体の状態を把握できますし、
治療効果の目安にもなるので、
「どのくらい歩けるか」
ということは、とても大事な情報でもあります。
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身体を強くするなら歩くこと以外でもいいはずですが、
なぜ歩くことを勧めるのか。
それは人間が生きていくために、
一番必要かつ基本的な動きだからです。
「歩く」という動作ができないと、
その他の動作もできないですよね。
それに歩くのは全身運動ですから、
リハビリとしてもちょうど良い。
腕立てしたり、スクワットしたりするのも良いですが、
まずは「しっかり歩く」を意識して続けることが大事です。
体が強くなってきてから、
スクワットや筋トレをするほうが怪我もしにくくなり、
運動を続けてやすくなります。
良いこと尽くめですね。
なのでまずは歩きましょう!
僕もなるべく歩くように頑張りたいと思いますので、
一緒に頑張りましょう!
「そもそも正しい歩き方ができないと、
さらに身体を悪くするじゃないか!」
と言われそうですが、それはまた次回以降に書きたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。